ゾウさんがいなくなってしまって一年。
ダークダックスが全員いなくなってしまって一年。
一年かぁ。実感が湧かないのは、歌声を聴けばすぐそこにいるからなんだと思う。
60年間のどの時期もリアルタイムで知らないから、自分の記憶に紐づいていない。「このころテレビで見たな」と思い出すことも、そこから「こんな若いころもあったんだなぁ」と感じるもできない。だからこそ、歌声を聴けば、お姿を見れば、純粋にその瞬間のダークに触れることになる。それが良くも悪くも実感が湧かない理由だと思う。
ただ、リアルタイムで見てないからこそ、どの期間も先入観なく見られている気がする。
時期によって歌声の違いは当然あるし、歌によってどのバージョンが一番好きかはあるが、若くても年を取っていても等しく同じ。
もちろん、長年のファンの方でもこういう方はたくさんいると思う。しかし、どちらが良い、悪いでなく、ずっとダークを見てきた方と、活動に区切りが付いてから知った自分のような者では、「同じ」に内包されたものが違う。知っていても同じ。知らないから同じ。何も知らずに触れたからこそ見えるものも、きっとあるのだろうと思う。
自分にとってはいつまでも、遺された歌声とお姿のままのダークである。
いつでも60年間を自由に行き来できる。
そこから外れることはきっともうできない。